TMSを受けてみて。結果、TMSは副作用やうつの悪化がある。そして万能の治療法ではない。
まずは最後にこのブログを更新してから4ヶ月もの間が空いてしまったことをお詫びしなければなりません。(この前2本の記事はこの記事と同時に書きました)
私は毎日死のことを考え、とてもブログを書ける精神状態にありませんでした。
TMSをやめて2ヶ月が経ち、やっとこのように筆を取るところにまで回復しました。
経緯を説明しましょう。
7月の末に、医師にTMSを受けてから受ける前よりずっと具合が悪くなっていると再三訴えているにも関わらず、医師が「TMSを受けて悪くなることは無い」と、断言した事で、私の中に医師に対する不信感が芽生えました。
どんな治療でも、副作用や悪影響のリスクが絶対に無い、などということはありえません。
ましてやTMS治療はまだ研究途上で保険適用も受けられない、若い治療法です。
その治療に対して、副作用が無い、と言い切っていること自体、受ける前から疑うべきでした。
医師への不信感と治療に対する不安感を抱いた私は、1週間後の予約を受けては取り消し、を繰り返し、先延ばしになり、TMSを最後に受けてから5週間が経ちました。
すると、どうでしょう。
あれほど死にたい死にたいと毎日苦しんでいたうつ状態が、嘘のように軽くなってきました。
TMSを受けない期間が長くなるほど、私はTMSを受ける前のうつ状態。すなわち、うつではあるけれど、気が狂ったように自分を殴ったりはしない、毎日死にたいと苦しみ続けることはない、そして、少しなら外出することもできる、そんな状態になっていきました。
私がTMSによる治療を開始したのが3月末。そして、うつ症状が悪化していると感じたのは4月の頭のことです。
しかしクリニックの医師にその旨を訴えても、「TMSによってうつが悪化することは無い。そうした前例は無い」との一点張りでした。
今になって考えるに、これまでも私のように「うつが悪化した」という患者の訴えを、クリニックがTMSを信頼しすぎるがために「それはTMSのせいではない」と盲目的に否定してきたのではないでしょうか。
それゆえの「悪化した前例は無い」ではないかと疑いたくなります。
新宿ストレスクリニックでTMSを21回受けてみて、私の中で治療としては途中ですがひとつの結論が出ました。
TMSを受けて、うつが悪化することもある。副作用の無い治療法など無い、ということです。
TMSは悪い事ばかりではありませんでした。左脳に与えた電気刺激(思考の切り替え)によってだと思いますが、悪い事を思いついても、一日中、何日も、鬱々とその考えを引きずることが無くなり、気分を切り替えることが出来るようになったことです。
また、同時に受けたカウンセリングで、大変素晴らしいカウンセラーの先生と出会うことができたことです。
子供の頃から悩んでいた対人関係、コミュニケーション能力、自己管理能力のなさを、違う角度からのアプローチで解消するための、的確なアドバイスを頂く事ができました。
現在私は、医師と相談し、残りの9回を解約せずに、3ヶ月程度治療を休んで、精神状態がどう変わるか。本当に酷い抑うつ状態はTMSのせいなのか、それを見極める、ということをしています。
カウンセリングが必要ならば、TMSを休んでいる間、医師からカウンセリングのみのフォローが必要との指示があれば、受けることもできるそうです。
人によって効く、効かないはさまざまでしょう。
新宿ストレスクリニックは、TMS治療に対して妄信的であり、初診の際に、受けてうつが悪化することはないと説明したり、良い点ばかりを強調するなど、問題点もあります。
クリニックには、TMS治療に盲目的になるのではなく、患者の訴えにも真摯に向き合い、現実を受け入れてもらいたいです。
しかし、受けない回数分の返金は手続きを踏めば成されるようですし、カウンセリングも充実しています。
悪徳なクリニックではなく、良心的なシステムのクリニックだとは思います。
しかし同時に、今のままでは、全幅の信頼を持ってすべてを任せられるクリニックだと言い切ることもまた出来ません。
ただ、これからTMS治療を受けてみようと考えている人に、実際に受けてみた私が伝えたい事は以下のとおりです。
ひとえに、TMS治療というものに、受ける側が何を期待するかということです。
TMS治療は、魔法のようにうつ病を治してくれる万能の治療法ではありません。
うつ病によって引き起こされる多種多様な症状のうち、ひとつかふたつでも、改善するならばいい、というぐらいの期待感で受けるべきものです。
そして、悪化しても、クリニックは薬物療法を行っていないので、TMSによる悪化もまたTMSによって解決しようとする、ということです。
よって、さらに悪化してしまうという悪循環に陥るリスクもあるということです。
クリニックは治療を途中でやめてはいけない、という事を強く推奨します。しかし、受ける側はそれを鵜呑みにすることなく、他の精神科医師とも相談し、TMS治療を場合によっては中断する、という選択肢も視野に入れることです。
現在10月頭、休むことをTMSのクリニックに伝えて一ヶ月、治療を中断して2ヶ月が経ちます。
とても具合の悪い日もあります。体が怠くて一日中眠ってしまう日もあります。
しかし、毎日つらいつらい死にたい死にたいと思っていた、TMS治療期間中より、はるかに楽な日々を送っています。少しは外出もできるようになり、また、外出したい、という意欲も出てきました。
そして、TMSを受ける前に苦しんでいた、辛い思考から脱却できない、という事もまた、無くなっています。
カウンセリングを受けた事で、自己管理も少しずつできるようになり、人と話すことにも少しだけ自信が持てたように思います。
良いカウンセラーと出会えた事、これが一番の収穫でした。そして、治療そのものも、全くの無駄ではなかった、と思っています。
もう一度言います。
TMS治療は、万能のうつ病治療法ではありません。副作用もあり、悪化することもあります。
それを理解した上で、家族の支えと、自分の状態を客観的に判断できる第三者(信頼できる精神科医など)、そしてなにより、今の自分の状態と医師の言葉をきちんと判断できる本人の意思、それが必要です。